2010年3月5日金曜日

2010年度の学力テスト実施について

 3月5日の日本経済新聞に次のような見出しの「学力テスト、抽出方式に変更でも小中学校の73%参加」の記事が出ていました。
 先の事業仕分け等を先取りする形で文部科学省が出してきた「全国学力テスト抽出方式」なのですが、参加希望が73%(2月末)になったというのです。参加率は100%の県から最低の25.4%の県までいろいろですが、高いという感じを受けます。
 前年全国トップだった秋田県は100%ということですし、過去の学力テストで異様に平均点が高かった県のある四国も高いし、九州も6県が100%とか。関西地区は平均的、関東が低め。参加率最低の県はあの犬山市のある県です。この格差はどこから来るのでしょうか。
 地方では、受けないだけで「風評」が立ってしまうのかな。学力というのは、学校と保護者と地域の連携によって向上していくものなのです。この3者のうち、学校と保護者という要素は比重が地域より少し高いかもしれません。ですから、学力テストの結果解釈には地域の状況、保護者の状況も考慮に入れる必要があります。
 教育委員会の中には、データの継続性というところに焦点を当てているところもあるようです。でも、抽出方式でも継続性とかはある程度、確保されるはずですし。全校で実施すれば、いろいろ判ることもあると思いますが・・・。
 この抽出方式にする理由の一つに「平均点公表」などの問題があったはずです。こちらは教育を「競争」としか捉えていない考え方に通じていく危険を含むと思います。それを避けるために「抽出」にしたとも思えるのです。それが、参加率100%などでは相変わらず「順位付け」のネタになってしまって、本質的検証や議論がされなくなる危険性が高いです。
 アメリカでブッシュ政権の時にですが、「落ちこぼれ防止法」とかをつくって、学校の平均点を公表し始めてから「留年」が増加したとか。教育の質が低下して、「点取り」に傾斜したためだといわれたりしてますし、イギリスでは平均点公表みたいなことは止めて、理解の遅い子のフォローアップなどに力を注いでいるとか。フィンランドもイギリスタイプですよ。それには、学校間競争など不要です。
 学力テストからは多くの有用なデータが得られるのですが、使い方を間違うと教育破壊の基にもなることを忘れないでほしいですね。

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